日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
各種角化異常症における角層構造タンパクの比較分析
吉池 高志
著者情報
ジャーナル 認証あり

1983 年 93 巻 7 号 p. 755-

詳細
抄録
同一角層試料からケラチン線維分画,水溶性分画,膜分画を同時に採取できる方法を用いて,その各々につき多数の角化異常症を比較検討し,本分画法を実用化しうることを報告した.対象としては掌計角化症群6例,魚鱗癬群16例,他の角化異常症8例,計30症例を用いた.ケラチン線維分画と水溶性分画については SDS ポリアクリルアミドゲル電気泳動を,膜分画についてはアミノ酸分析を施行した.ケラチン線組分画の電気泳動では7例の水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症で分子量約 55, 000 のポリペプチドの欠損もしくは著明な減少をみとめたほか,点状型掌蹠角化症,伴性遺伝性魚鱗癬,尋常性乾癬および砒素角化症においてもその構成ポリペプチドの濃度比の異常をみとめた.水溶性分画の電気泳動では全例においてその主要ポリペプチドに異常をみとめなかった.膜分画のアミノ酸組成では点状型および局面型掌蹠角化症, Papillon-Lefgvre 症候群,尋常性魚鱗癬,後天性魚鱗癬,毛孔性紅色枇糠疹,更年期角化腫,ダリエ病,枇素角化症など多くの疾患で l/2cystine 値あるいは proline 値の異常をみとめ,また局面型掌政角化症,尋常性乾癬,砒素角化症などでは aspartic acid, threonine, alanine, leucine,serine, omithine などその他のアミノ酸組成にも異常がみとめられた.
著者関連情報
© 1983 日本皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top