日本皮膚科学会雑誌
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実験的家兎黄色腫組織のライソゾーム機能 -とくに酸性コレステロール、エステラーゼについて-
赤木 理
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1983 年 93 巻 8 号 p. 859-

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抄録

高分子デキストラン硫酸局注法により高コレステロール血症家兎背部皮内に各種成熟段階の黄色腫病変を作成し,黄色腫組織でのコレステロール代謝を,とくに泡沫細胞内のライソソーム機能およびそれにおよぼす過酸化脂質の影響という面から検討し,以下の結論を得た. 1)高コレステロール血症性黄色腫組織中のコレステロールは,健常組織より増加しており,とくにコレステロールエステルの増加が著しかった.また病変形成段階で経時的に増加していた. 2)β-グルクロニダーゼ,酸性フォスファターゼ,N-アセチル-β-グルコサミニダーゼの3つのライソゾーム酵素の活性は,高コレステロール血症性黄色腫組織では,健常部に比較して上昇しており,また黄色腫病変が成熟するにしたがい上昇していた. 3)ライソゾームの酸性コレステロールエステラーゼ活性は,高コレステロール血症性黄色腫組織では健常組織より上昇しており,黄色腫病変の成熟にともない活性も上昇していると考えた. 4)高コレステロール血症性黄色腫組織では過酸化脂質量がわずかに増加していたが,黄色腫という病態との直接的関連を示唆する所見ではないと考えた. 5)過酸化脂質が黄色腫組織のライソゾーム機能に影響を与えている所見は得られなかった.

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© 1983 日本皮膚科学会
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