日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
菌状息肉症,Sezary症候群における皮膚浸潤細胞のT細胞分類とNuclear contour index(核切れ込み指数)
岩原 邦夫
著者情報
ジャーナル 認証あり

1984 年 94 巻 13 号 p. 1499-

詳細
抄録

菌状息肉症14例,Sezary症候群1例,計15例の皮疹部を用い核周囲の長さ/√核の面積で示される核の切れ込み具合を表す指数,すなわちNuclear contour index(NCI)(核の切れ込み指数)および核/細胞質,面積比(N/C),ヘルパー/サプレッサーT細胞比につき,モノクローナル抗体を用いて染色後検討したその結果モノクローナルT細胞抗体陽性細胞(n≒100)の平均NCIは,陰性細胞のそれより高く,紅斑期,腫瘍期と病勢の進行と共に増加した.N/Cは,病勢の進行に伴う顕著な増加はみられず,従って核の切れ込み指数との相関関係はみられなかった.菌状息肉症皮疹部における浸潤細胞の比率を検討した結果,サプレッサーT細胞は病初期に,ヘルパーT細胞は病後期に高率に観察された.一方対照とした円板状紅斑性狼瘡,結節性痒疹,光沢苔癬,滴状類乾癬などの慢性良性皮膚疾患において浸潤するT細胞の核切れ込み指数は,菌状息肉症やSezary症候群に比して明らかに低かった.従ってこれらT細胞を対象としたNCIの測定は,菌状息肉症,Sezary症候群の悪性度を知る上で有力な基準となりうるものと考察された.

著者関連情報
© 1984 日本皮膚科学会
次の記事
feedback
Top