日本皮膚科学会雑誌
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動物モデルによる異物排除機構の研究―とくに好中球の役割について―
森下 美知子
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1984 年 94 巻 14 号 p. 1615-

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抄録

モルモットの側腹部にcharcoal activated powder(CAPと略),polystyren latex spheres(LTXと略),酸化チタン(TiO2と略)をそれぞれ皮内注射し,その異物排除現象について組織学的に検討した.さらにCAP注射群とLTX注射群についてはindomethacinを前投与し,TiO2注射群については大腸菌培養濾過液(ECFと略)と共に皮内注射し,それぞれ対照群と比較した.CAPは好中球と共に経毛包性に排泄され,LTXは好中球,変性結合組織と共に直接経表皮性に排泄された.TiO2は少量ながら経表皮性ならびに経毛包性に排泄された.indomethacinの投与によりCAP注入部では好中球の浸潤が減少し,経毛包性排泄が遅延する傾向が示された.一方LTX注入部ではindomethacin投与後も好中球の浸潤は軽減せず,経表皮性排泄に明らかな差異を示さなかった.TiO2注入部では,ECFの投与により好中球の浸潤が増加し,その経表皮性ならびに経毛包性排泄が増強された.これらのことより,異物排除機構においては好中球が重要な役割を果していることが示唆された.

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© 1984 日本皮膚科学会
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