日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
月経周期からみた女子痤瘡患者の内分泌学的検討
高橋 慶子
著者情報
ジャーナル 認証あり

1984 年 94 巻 5 号 p. 551-

詳細
抄録

15~25歳までの女子痤瘡患者41名及び対照健康人29名について,月経周期別各種血中ホルモンすなわちFSH,LH,Estradiol(E2),Progesterone(P4),遊離型Dehydroepiandrosterone(f-DHA),抱合型Dehydroepiandrosterone(c-DHA),Testosterone(T),Dihydrotestosterone(DHT),Androstenedione(A),Cortisol(F)を測定比較し,本症と血中ホルモンとの関係を検討した.健康人との比較では,T,DHTは卵胞期,黄体期ともに健康人に比べ,有意の高値を示し,その傾向は黄体期により著明であった.f-DHAは周期分けしない場合は健康人との間に有意差はなかったが,周期別にしてみると黄体期にのみ本症患者が有意の高値を示した.一方AはこれらAndrogenの中ではむしろ低値傾向を示したが,有意差とはならなかった.その他のホルモンは健康人との間に有意差はみられなかった.次に本症患者の卵胞期と黄体期との比較では,Androgen値に関してはc-DHAを除き,いずれも平均値は黄体期に高値であったが,卵胞期との間に有意差はなかった.以上の結果,本症患者では血中T,DHT及びf-DHA値が高値であり,更に黄体期に増量の傾向のあったことから,月経前増悪と血中ホルモン値との密接な関係が示唆された.

著者関連情報
© 1984 日本皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top