日本皮膚科学会雑誌
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表皮肥厚に対するRetinoid内服の効果―顕微螢光測光による観察―
川村 光二
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1984 年 94 巻 9 号 p. 1031-

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抄録

肥厚した表皮としからざるものとに対し,Retinoidが如何なる影響を及ぼすかを知るために,表皮基底細胞の核DNAについて顕微蛍光測光法により検索した.表皮肥厚は,絆創膏によるTape-Strippingをモルモット耳介内皮膚に1週間繰返すことにより惹起された.表皮肥厚作製後,Retinoid 10mg/kg/dayを連日服用せしめ,経日的に皮膚片を採取し,0.25%α-chymotrypsin溶液に浸漬して表皮基底細胞を分離した.染色は,Pararosaniline-Schiff液によるFeuIgen反応,一部にはFeuIgen反応とAcriflavine-Schiff液によるNinhydrin-Schiff反応を重複しておこなった.作製されたDNAヒストグラムより,Deanの変法にもとづいて細胞周期各期の割合を算出した.その結果,表皮肥厚を生ぜしめた群では,投与1日でG1期細胞の増加とS期およびG2+M期細胞の減少がみられた.しかし投与1週以後,GI期細胞の割合は次第に減少し,S期細胞は増加した.これに対し対照群では,投与1日でG1期細胞の減少とS期細胞の増加がみられた.しかし3日以後,S期細胞は次第に減少し,投与前の割合に近付いた.G1期細胞の核蛋白量は,表皮肥厚群では投与1週で最小,以後次第に増加した.対照群では1週で最大となり,以後減少した.

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© 1984 日本皮膚科学会
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