日本皮膚科学会雑誌
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ヒト成長期毛包峡部の電子顕微鏡的研究―特に内毛根鞘遊離前の外毛根鞘角化について―
馬場 俊一
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1985 年 95 巻 10 号 p. 1065-

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抄録
外毛根鞘角化を超微形態学的に明らかにするため,ヒト頭部皮膚を材料として,外毛根鞘が角化する部位である成長期毛包峡部を電顕で観察した.結果:1.峡部において角化した外毛根鞘細胞には,高電子密度を呈する微細な線維の凝塊が充満する.2.角化した外毛根鞘細胞には周辺帯の形成が認められる.3.この角化した外毛根細胞は,内毛根鞘の崩壊以前で,脂腺開口部から800μmの深さから観察される.4.角化した外毛根鞘細胞の出現から,内毛根鞘崩壊の開始部までの間,すなわち脂腺開口部から800μm-500μmの範囲において,角化した内毛根鞘のヘンレ層細胞と,角化した外毛根鞘細胞との間にはデスモゾームが存在する.5.角化直前の外毛根鞘細胞の細胞質内には,少数ではあるが,球形乃至卵円形のケラトヒアリン顆粒が観察される.このケラトヒアリン顆粒は脂腺開口部より1,100μmの深さから観察されはじめる.これらのことより,外毛根鞘は超微形学的にも特異な角化を呈し,内毛根鞘が遊離する以前から,電顕的には角化した外毛根鞘が出現することが,より明らかとなった.
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© 1985 日本皮膚科学会
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