抄録
50歳以上の中高年者の頚部に多発する白色丘疹性皮疹の16例を報告した.発疹は粟粒大から帽針頭大,白色ないし黄白色調,弾性やや硬,表面平滑,円形ないし楕円形を呈する境界明瞭な扁平隆起性丘疹性皮疹である.これらが数個から数10個,頚部に対側性に,毛ハVハVと無関係に多発する.融合傾向を認めず,有茎性に隆起するものもない.自覚症状はなく,明らかな先行皮疹の既往もない.組織学的には真皮上・中層の膠原線維束の粗大化,増加が病変の主体をなす. 以上の臨床および組織学的所見は既知の疾患に該当するものがなく,我々は本症を新しいclinical entityと考え,white fibrous papulosis of the neck(WFPN)と命名した.本症の発症誘因は明らかではないが,これまで見過ごされてきた加齢に伴う老人性皮膚変化の1つで,中高年者においてはそれほどまれではないものと考えられた.