日本皮膚科学会雑誌
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新生仔ラット角層細胞膜由来のPauly反応陽性タンパク質
高橋 昌江手塚 正
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1986 年 96 巻 10 号 p. 1013-

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抄録

1.新生仔ラット表皮中に存在するhistidine-rich proteinを分離,精製するために,タンパクのhistidine,tyrosineおよびtryptophan残基と反応するPauly反応を電気泳動ゲルに応用し,その染色バンドをマーカーとして,精製を進めた.2.Tris-HCl,4M urea,8M アルカリ性urea抽出液を等電点電気泳動後,Pauly反応でゲルを染色したところ,Tris-HCl抽出上清の酸性領域に陽性バンドがみられた.3.それら陽性バンドのうち,タンパク当り最もPauly反応染色性の強かった等電点5.1のタンパクを抽出し,SDS-PAGEを行い分子量を測定した.4.SDS-PAGEの結果,主として4本のタンパクバンドがみられ,それぞれをアミノ酸分析したところ,分子量56,000のものがhistidine含量3.6%ともっとも高かったので,このものについて家兎にpolyclonal抗体を作成し,抗原に対する抗体の存在していることをimmunoblotting法により確認した.5.In vivoでの局在を検討するために,作成した抗血清を用いて蛍光抗体間接法を行った.その結果,特異蛍光は角層細胞膜にみとめられた.したがってこのPauly反応陽性タンパク質は角層細胞膜に局在することが判明した.

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© 1986 日本皮膚科学会
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