本学で経験した乳房外Paget病11例に対して臨床的・病理組織学的検討を加えた.症例を下床に腺癌をともなう例とともなわない例とに大別した.腺癌をともなう例ではともなわない例よりも予後が悪かった.更に,光顕的にPaget細胞をA,B,C,D型に,電顕的に分泌型・非分泌型・空胞型に分類したところ,腺癌をともなう例ではB型・分泌型が,ともなわない例ではA型・非分泌型が多く観察された.組織化学的にはPaget細胞はPAS・アルシアン青陽性であったが,これは主にA型細胞であった.免疫組織化学的にはPaget細胞は一般にKeratin,CEAが陽性であり,B2-microgloburinは陰性であった.以上より,それぞれのPaget細胞の性格は,A型は粘液癌的性格,B型は腺癌的性格,D型は未分化細胞としての性格をもつものと考えた.