日本皮膚科学会雑誌
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血中よりリケッチアを分離し得たつつが虫病の1例とわが国のつつが虫病の文献的観察
亀田 洋滝上 正
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1986 年 96 巻 8 号 p. 791-

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抄録

横浜市在住の46歳,男子のつつが虫病の1例を報告するとともに,わが国のつつが虫病について若干の文献的考察を行った.昭和59年11月4日,千葉県東葛飾郡沼南町海上自衛隊下総基地東端の雑木林にて山芋掘りをした後,8日目右上腕に丘疹,11日目より発熱(~39.4℃),14日目より発疹をみた.BAPCおよびFOMによる治療は無効で,右上腕部の硬血痂皮局面(刺し口)および右腋窩の有痛性リンパ節腫大を確認し,つつが虫病と診断し,TCを投与したところ,症状の劇的な改善をみた.患者血清よりRickettsia tsutsugamushiが分離され,これはBALB/cマウスより得たモノクロナル抗体を使用した蛍光抗体間接法によりKarp型と同定された.また,患者血清IgM抗体の有意の上昇,異型リンパ球,中等度の血小板減少なども認められた.近年,フトゲツツガムシやタテツツガムシに媒介される,それぞれ秋~冬・春~初夏,秋~冬に発生するつつが虫病(いわゆる新型)が全国的に急増しており,神奈川県,千葉県でも再発生蛍光がみられる.同時に,DICの合併などによる早期治療が必要とされ,この際に,特徴的な刺し口をみつけることが重要とされる.

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© 1986 日本皮膚科学会
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