日本皮膚科学会雑誌
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アトピー性皮膚炎における血清LDH(乳酸脱水素酵素)活性値の変動
向井 秀樹野口 俊彦上村 仁夫西岡 清西山 茂夫
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1987 年 97 巻 14 号 p. 1623-

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抄録

重症のアトピー性皮膚炎(AD)患者において血清LDH活性値が上昇していることに注目し,本検査値がADの治療効果の指標になるか否かについて検討した.成人型AD55症例について経時的に抹消血好酸球数(Eo),血清LDH活性値(LDH)とその分画およびIgE値を測定した.その結果,①AD病勢はEoおよびLDHと有意な相関関係を示したが,IgEとは一定の傾向を示さなかった.②臨床スコアーと3つの各検査値との間には,いずれも有意な相関関係を認めたが,相関係数の点からみるとLDH>Eo>IgEの順であった.③個別例で臨床スコアーとIgEとの有意な相関関係を認めたのは20例中4例のみであった.④LDH分画では主としてLDH5が上昇し,LDH4も若干の上昇を示した.以上の結果より,AD患者において病勢(皮疹の消長)や重症度を判定する指標の一つとして,LDHの有用性は高いことが判明した.

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© 1987 日本皮膚科学会
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