日本皮膚科学会雑誌
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Annular Elastolytic Giant Cell Granuloma(環状弾力線維融解性巨細胞肉芽腫) 本邦報告例の統計的観察と弾力線維貪食性巨細胞の3次元画像解析
柴田 明彦森嶋 隆文
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1987 年 97 巻 14 号 p. 1645-

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抄録

Annular elastolytic giant cell granuloma(環状弾力線維融解性肉芽腫)の74歳,男性の典型例を報告した.自験例で興味あることは以下の通りである.1)臨床的には男性例であること,罹患部位が露出部のほか体幹であったことである.2)病理組織学的には,隆起部では弾力繊維を貪食した多核性巨細胞が網状層上層~中層の膠原線維束間に浸潤していること,隆起部内側部では弾力線維は網状層上層~中層では消失していたが,乳頭層~乳頭下層では保たれていたことである.3)免疫組織化学的には多核性巨細胞はリゾチーム強陽性を示したことである.4)3次元画像解析の結果,巨細胞は不整な外形を呈し,極めて多数の核を有し,長さ約50μmの弾力線維が屈曲・膨化して細胞質内を広く占拠しており,弾力線維の貪食像が解明された.本邦例の統計的観察の結果,本症は欧米例に比して高齢者に多く,男性例も多く,罹患部位も露出部に限らず,体幹にも好発することを明かにしえた.本症の病変は,狭義のelastic fiberがある長さで断裂し,この弾力線維を非自己として認識し,その処理過程として組織球や巨細胞の肉芽腫性炎症が惹起されたものと推測した.

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© 1987 日本皮膚科学会
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