1987 年 97 巻 6 号 p. 685-
正常皮膚およびメラノサイト系腫瘍におけるチロジナーゼの分布を抗チロジナーゼ4モノクローナル抗体を用いて免疫組織学的に検討した.正常皮膚では表皮メラノサイトと毛母メラノサイトに陽性所見が得られた.また胎児(胎生9週)表皮メラノサイトも陽性所見を示した.色素母斑では真皮上層の母斑細胞のみが陽性を示し,下層のものは陰性であった.メラノーマ原発巣ではほぼすべての腫瘍細胞が陽性を示したが,転移巣ではheterogeneityを示すものが多かった.amelanotic melanomaは陰性であった.この抗体はメラノサイト系の細胞のみと反応し既に報告されているメラノーマに対するモノクローナル抗体の多くがメラノサイト系以外の腫瘍や正常細胞とも反応することから,免疫組織学的にメラノサイトおよびメラノサイト系腫瘍の有用なマーカーになるものと思われる.