1987 年 97 巻 9 号 p. 1007-
虫刺症様丘疹に始まり,数回の皮膚生検の結果,最終的にcutaneous T cell lymphoma(CTCL)と診断した症例を報告する.自験例の特徴は,(a)皮疹の自然消退,(b)腫瘍細胞のsurface phenotypeは,はじめThelper/inducer(TH/I)型であったが,経過中,TH/I型とTsuppressor/cytotoxic(TS/C)型のdouble markerを持つ腫瘍細胞が出現したこと,(c)自然消退を示す病変部ではmonocyte-macrophage系細胞浸潤が多いこと,(d)double markerを持つ腫瘍細胞が出現した際,真皮内にT6陽性細胞及びmacrophageが多数存在したことである.以上のことを免疫組織学的に検討し,考察した.