日本皮膚科学会雑誌
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Polarization assayを指標としたベーチェット病患者末梢血好中球機能
渡辺 理恵溝口 昌子
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1988 年 98 巻 14 号 p. 1451-

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抄録

ベーチェット病(以下B病)患者の末梢血好中球機能亢進が報告されている.今回我々はこれまでの報告と異なった方法すなわち好中球chemokinesisまたはchemotaxisの初期反応を反映するpolarization assayを主として用い,B病患者の好中球機能を検討した.患者の検索に先立ち,健常人好中球を使用し,polarization assay とBoyden's chamber法によるchemotaxisの鋭敏度,薬物による影響などを比較した.N-formyl-methionyl-leucyl-phenylalanine(以下FMLP)に対してはpolarizationの方がより低濃度で反応を示した.10-5MのサイトカラシンBは両反応を著明に抑制したが,10-6Mのコルヒチンはchemotaxisのみを抑制し,polarizationを抑制しなかった.FMLPに対するpolarizationは活動期のB病患者では健常人に比して有意に亢進していた.また遊走因子を加えていないrandom polarizationも活動期の患者で有意に亢進していた.これに対し非活動期の患者では健常人とほぼ同様の反応を示した.反応の強弱は病勢と相関し投薬の有無とは無関係であった.また最近B病の口内炎に有効との報告がある塩酸アゼラスチンの好中球に対するin vitroの反応を健常人およびB病患者で検討した.アゼラスチンは10-7M~10-5Mで好中球のFMLPに対するchemotaxis,chemiluminescenceを有意に抑制したが,polarizationには影響しなかった.polarization assayはchemotaxisに比し簡便,鋭敏,かつ再現性に優れ,投薬に関わらず病気の活動性を見るのに有用な方法と思われる.

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© 1988 日本皮膚科学会
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