日本皮膚科学会雑誌
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角質細胞の走査型および透過型電顕による研究 第2報:stripping technique(角層剥離法)による角質細胞の微絨毛様突起作製実験とその経時的変化
宿輪 哲生
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1988 年 98 巻 14 号 p. 1467-

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抄録

44歳以下の成人健常者および70歳以上の高齢者で,48時間に,1回角層を剥離して人工的に角質増殖刺激を与え,villus-likeprojection(VP)の誘発を試みた.走査電顕上,成人健常者では,剥離5日目(3回剥離時)よりVPが出現,増加し,11~13日目(6,7回剥離時)で著明となるが,それ以降はVPが急速に減少した.透過電顕的にはVP先端にデスモソーム様構造を認め,剥離17日目(9回剥離時)にはVPが減少し,代ってデスモソームの著明な増加がみられた.一方,高齢者では,成人に比べVPの形成が遅く,その数も少なく,長さも短かった.また,デスモソームの増加はみられなかった.VPはデスモソームの増加が生じるまでの角質細胞同志の結合を強める過渡的な産物と推測される.高齢者では表皮の反応性の低下のため,VPの形成が遅延し,VPの個数,長さが減じ,デスモソームが増加しないと考えられた.

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© 1988 日本皮膚科学会
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