長期間観察中の免疫異常を伴う再発性紅斑の自験10例を皮疹の形態から3型に分類し,一般検査,腺機能検査,HL-Aタイピング,Lupus band testを含む病理組織検査ならびに血中抗SS-A,抗SS-B抗体の有無,抗体価,臨床症状との関連について検討した.その結果,Subacute cutaneous lupus erythematosus(SCLE)の環状紅斑,いわゆるSjogren症候群(SjS)の紅斑および両者の中間型に形態学的に分けられ,病理組織学的にSCLEとSjSの紅斑は区別し得るが,他の諸検査から3型の明確な鑑別は困難であった.SCLE症例では2例ともにRowell(1963)の報告と類似する多形紅斑様皮疹を合併した点が注目された.全例に抗SS-B抗体が,また7例に抗SS-A抗体が陽性でとくにSjS型の紅斑は抗SS-A抗体を欠く症例が3例みられた.これらの抗体価は臨床症状と無関係に推移した.以上から,環状連圏状のSCLEとSjS型の紅斑は臨床的ならびに病理組織学的に区別し得るが,形態学的に紅斑性狼瘡と診断し得ない再発性紅斑と抗SS-B抗体と他の免疫血清学的異常を伴う症例は,「抗SS-B再発性紅斑」なる病名の下に一括整理するのが妥当と考えられた.