1989 年 99 巻 1 号 p. 45-
症例:41歳男性.9年前皮下硬結が両上腕に初発,以後徐々に下腿,躯幹,顔面に拡大した.個々の皮疹は中心部に陥凹を残しつつ徐々に遠心性に拡大した.5年前より少量のステロイド内服治療を行なっていたが,2年前より38℃の発熱を伴うようになった.皮膚生検の結果,皮下脂肪織に赤血球,白血球を貪喰した多数の組織球が認められ,cytophagic histiocytic panniculitisと診断した.プレドニゾロン60mgとアザチオプリン100mgを投与したところ皮疹は軽快傾向を示し,ごく少数の皮下硬結を認めるのみとなり,現在なお経過観察中である.検査成績において,白血球減少のほかに,LEテスト,抗核抗体陽性,IgA,補体の高値が認められた点が特異であり,これらの免疫能の異常が本症の発症に関与するものと推測された.