日本皮膚科学会雑誌
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滞米日本人より分離されたGroup JK coryneformsについて
西嶋 攝子Kenneth J. McGinleyJames J. Leyden
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1989 年 99 巻 10 号 p. 1121-

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抄録

近年主として免疫の低下している患者においてヒト皮膚常在菌であるaerobic coryneform bacteria(以下coryneform)による敗血症,心内膜炎などをはじめとする種々の重症感染症の報告が相次いだ.今日その病原菌はCorynebacteriumと同定され,Group JK coryneforms(以下Group JK)あるいはCorynebacterium jeikeiumとよばれ免疫低下の状態にある患者の多い病棟では大きな問題となっている.この菌はこれまでの皮膚常在菌としてのcoryneformとは異なり多くの薬剤に耐性を獲得しており,in vitroにおいて脂質に対する要求が極めて強い特性を持っている.今日まで日本からこの菌の分離の報告はなされていないが,今回われわれは滞米日本人の皮膚よりかなりの頻度でGroup JKを分離し得た.この結果より日本においてもGroup JKが分離される可能性は大きいと考えられた.この菌は本来皮膚と粘膜の常在菌であること,寒天培地上での発育がおそいこと,in vitroにおいて脂質に対する要求が極めて強く分離の方法が難しいこと等により,わが国においては臨床検体より分離されず見のがされている可能性が強く疑われた.

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© 1989 日本皮膚科学会
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