1989 年 99 巻 12 号 p. 1255-
全身性強皮症(以下SDと略)の本態解明に役立てるために,レイノー現象を伴うSD患者37例と振動病患者21例のレイノー現象を比較検討した.レイノー現象は,①低音刺激(寒冷),②温熱刺激,③精神的ストレスおよび④振動負荷により,誘発され,SD患者では,各々37例(100%),22例(59.5%),7例(18.9%)および3例(8.1%)に,一方,振動病患者では①は21例(100%),④は1例(4.8%)に認められた.ただし,②と③はみられなかった.両者のレイノー現象は,出現部位,持続時間,出現時期,色調変化などにおいて異なった.以上より,両者間には外的刺激に対する血管の反応性に差異のあることが示唆された.