日本皮膚科学会雑誌
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ラット表皮より抽出されたヘマトキシリン染色陽性膜タンパクについて 第5報 モノクローナル抗体(Ted-R-3)の作成とinvolucrin,ヒスチジン・リッチタンパクとの交叉反応の検討
高橋 昌江手塚 正
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1989 年 99 巻 2 号 p. 111-

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抄録

1.生後3日の新生仔ラット表皮の50mM Tris-HCl抽出画分中のpI4.8~5.1にみられたヘマトキシリン染色陽性タンパクを抗原としてモノクローナル抗体を作成した.2.作成されたモノクローナル抗体(Ted-R-3)は蛍光抗体間接法で角層細胞膜周辺とケラトヒアリン顆粒に局在を示し,イムノブロッティングで分子量55kdのタンパクのみと反応した.またこの抗体のクラスはIgMであった.3.アフィニティー精製した抗原タンパクのアミノ酸組成はグリシン(20%),セリン(18%),グルタミン酸(13%)に富み,オルニチン(6%)も含まれていたが,ヒスチジン(3%),シスチン(0.1%)は少なかった.4.Ted-R-3とすでに報告されているinvolucrin,ヒスチジン・リッチタンパクとの交叉反応を調べるため,市販の抗involucrin抗体であらかじめ抗原決定基を被覆した組織を用いたTed-R-3による蛍光抗体法および部分精製したヒスチジン・リッチタンパクであらかじめ吸収したTed-R-3を用いた蛍光抗体法を行ったが,結果は未処理の場合と相違なくTed-R-3がinvolucrinやヒスチジン・リッチタンパクと異なったタンパクに対する抗体であることがアミノ酸分析値だけでなく組織上でも確認された.

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© 1989 日本皮膚科学会
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