日本皮膚科学会雑誌
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汎発疹を伴う複発性帯状疱疹の1例―発症機序の検討―
吉田 正己本藤 良
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1989 年 99 巻 4 号 p. 457-

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抄録

77歳,男性に生じた汎発疹を伴う複発性帯状疱疹の1例を報告した.2ヵ所の帯状疱疹病変部と汎発疹から計3株の水痘・帯状疱疹ウイルスが分離された.この3株間の異同をウイルスDNAの制限酵素切断像の解析により検討したところ,3株は同一株であることが示された.この結果は,自験例においては複数の脊髄神経節に同一ウイルス株が潜伏感染していたことを示唆している.自験例は,胃癌の手術が誘因となって,相離れた神経節内の同一ウイルス株が同時に再活性化して2ヵ所に帯状疱疹の病変を生じ,さらに帯状疱疹病変部で増殖したウイルスにより汎発疹を生じたと推察された.

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© 1989 日本皮膚科学会
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