日本皮膚科学会雑誌
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水疱性類天疱瘡水疱液中のleukotriene(LT)B4およびLTC4
川名 誠司西山 茂夫
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1989 年 99 巻 6 号 p. 659-

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抄録

無治療の水疱性類天疱瘡(BP)患者7例に生じた水疱の内容液中のleukotriene B4(LTB4)は平均3.80±1.99ng/mlであり,5例の熱傷水疱液(0.93±0.82ng/ml)および2例の健常人に作製したsuction blister(0.95±0.21ng/ml)と比較して有意に高値を示した.一方,LTC4はBP水疱液中に3.63±1.13ng/mlあり,健常人suction blister(0.86±0.20ng/ml)と比較して有意に高値であった.BP3例の水疱液を各々モルモット背部に皮内注射したところ,3時間後に好中球,好酸球の真皮への浸潤が認められ,6時間後にさらに広範囲に著明な浸潤が観察された.leukotrieneの測定に用いた水疱液のメタノール溶出液でも同様のchemotactic activityを認めたことより,ここで観察された好中球,好酸球浸潤は水疱液中のLTB4のchemotactic activityに基づくものと考えられた.さらに真皮上,中層の結合織間に著明な滲出傾向の増加をみた.以上の所見はBPの病変部皮膚に認められる好中球,好酸球浸潤にLTB4が関与し,著明な滲出にLTC4を含めたペプチドLTsが関与している可能性を示唆している.

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© 1989 日本皮膚科学会
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