1989 年 99 巻 8 号 p. 907-
74歳男子の成人型T細胞リンパ腫患者の左側頭の腫瘤に対しては遺伝子組み換えインターフェロンガンマ(rIFN-γ)の静脈内投与と局所温熱,右の2個の腫瘤に対してはrIFN-γの静脈内投与のみで治療を試み,その効果を比較検討した.左腫瘤は治療10日目(rIFN-γ1,000万JRU,温熱30~50分×5回)には腫瘤三方向の縮小率44%,21日目(rIFN-γ3,400万JRU,温熱13回)にはほぼ扁平化,縮小率94%となった.再発予防のため放射線(デルモパン,stⅢ)を計3,000R照射した.右腫瘤はいずれもrIFN-γ投与17日目(2,600万JRU)より急速に縮小しはじめ,縮小率各79,75%,21日目(3,400万JRU)には縮小率各91,97%となった.30日目よりrIFN-γを筋肉内投与に変更したところ右腫瘤部位の再発傾向を認めたため,デルモパン3,000Rを照射した.治療終了後の皮膚生検にて腫瘍細胞は左・右とも消失したことを確認した.その後週1回のrIFN-γ(200万JRU)の筋肉内投与にて外来でfollow中であるが,4ヵ月後の現在再発をみとめない.rIFN-γと温熱療法の併用はrIFN-γ単独投与に比べ治療効果発現を早め,これは両者の相乗効果と考えられた.ATLを含む悪性リンパ腫に対し,IFN-γと温熱療法の併用療法は今後試みられるべき有効な治療法であることが示唆された.