日本皮膚科学会雑誌
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SLE症状を呈したHANEの1例
堀内 早苗馬場 徹上野 賢一白石 聡
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1989 年 99 巻 8 号 p. 921-

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抄録

33歳,女性,4歳頃より年7~8回顔面四肢にクインケ浮腫を思わせる皮疹の出現,消退を繰り返していた.また,原因不明の腹痛発作も経験しているが特別の治療をうけることなく軽快していた.家族歴として母は20歳から50歳までクインケ様浮腫があったとの事であるが現在は認められていない,妹は10歳よりクインケ様浮腫と原因不明の腹痛が時々出現している.検査所見としてCH50価,C1q,C4蛋白量,C2活性の低値を示し,C1-INH蛋白量は著明な低下を認めた.また,母,姉,妹についてもC1-INH蛋白量の顕著な低下を認めた.以上よりHANEと診断した.また20歳頃より日光過敏症に気づき,27歳頃より顔面の蝶形紅斑を指摘された.顔面の組織所見としては表皮は菲薄化し,基底細胞の液状変性を呈し,lupus band testは陽性であった.検査所見でもリンパ球の減少及び,抗核抗体の陽性を認めた.よってHANEでSLE症状を呈していることが示唆された.

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© 1989 日本皮膚科学会
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