動物臨床医学
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Case Report
プロスタサイクリン製剤が著効した乳び胸を伴う肺高血圧症の猫の1例
飯野 泰子福島 隆治曽田 藍子田中 綾
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2010 年 19 巻 2 号 p. 51-56

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抄録
乳び胸水の貯留を認めた18歳齢の雑種猫における超音波検査で,右心圧増大の所見,心室中隔膜性部付近でモザイク信号を認めた。心室中隔欠損症(VSD)由来の肺高血圧症(PH)とそれに伴う乳び胸を疑い,一般的な右心不全の内科的治療に加え,ベラプロストナトリウム(BPS)の投薬を行った。その結果,第57病日までに乳び液貯留は消失,PHを示唆する各検査結果にも大きな改善を認めた。しかし,その後の精査でモザイク血流はVSDによるものではなく,大動脈弁閉鎖不全症が示唆された。各種検査および臨床症状の改善から,本症例がPHであったことが推察される。PHの原因疾患に対する確定診断は行えていないが,本症例がPHを誘発させる肺血管疾患を有していたことは十分に考えられる。本症例の治療経過からBPSがPH由来の右心不全に対する治療薬として有用性であること,特発性乳び胸の原因に何らかの肺血管疾患に由来するPHが含まれる可能性があることが示唆された。
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© 2010 動物臨床医学会
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