動物臨床医学
Online ISSN : 1881-1574
Print ISSN : 1344-6991
ISSN-L : 1344-6991
原著
液体法で測定した猫血中α1-AGの臨床応用
三村 可菜淺川 裕美橋本 正勝早川 典之石岡 克己
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 22 巻 4 号 p. 139-143

詳細
抄録

α1-酸性糖蛋白 (α1-AG)は急性相反応蛋白の一種であり,猫において炎症や腫瘍を検出するスクリーニング項目として注目を集めつつある。今回新たに開発した測定試薬を用い免疫比濁(TIA)法による猫血中α1-AGを測定した結果,同時再現性と希釈直線性はともに良好で,その測定値は一元放射免疫拡散法による測定値と高い相関を示した。この試薬を用いたTIA法で日本獣医生命科学大学付属動物医療センターに来院した238頭の猫の血中α1-AG濃度を測定したところ,α1-AGが上昇していた125頭のうち血清アミロイドA(SAA)の上昇を伴っていたものは62頭で,乖離が見られることからα1-AGとSAAの同時評価が病期判定や鑑別診断に結びつく可能性が示唆された。また,TIA法による猫α1-AGの測定は大規模な検体処理に適し,検査項目としてのα1-AG測定の普及に寄与することが期待される。

著者関連情報
© 2013 動物臨床医学
前の記事 次の記事
feedback
Top