動物臨床医学
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症例報告
尿管結石摘出術を2度行ったウサギの1例
大成 衷子白石 加南八村 寿恵山岡 佳代和田 慎太郎網本 昭輝
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2015 年 24 巻 3 号 p. 128-131

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抄録

7才齢雄のウサギが食欲低下と元気消失を主訴に来院した。 背弯姿勢,腹部の疼痛がみられたためX線検査を行ったところ,左右腎臓の腎盂内に結石が認められた。鎮痛剤や皮下輸液などによる内科的な治療を行っていたが,第8病日に右腎盂内にあった結石が尿管に移動し尿管閉塞を起こした。腹部超音波検査で右腎盂と尿管の拡張が認められたため,右尿管切開を行い結石の摘出を行った。結石の主成分はシュウ酸カルシウムであった。術後の経過は良好であったが,第21病日に腰をうかす姿勢をとり排尿回数が多いとのことで来院した。左腎盂内にあった結石が尿管に移動し,左腎盂と尿管の拡張を起こしていたため,左尿管切開を行い,結石の摘出を行った。経過は順調であったが,第64病日(2回目の手術から43日目)に元気消失,頻尿を訴えX線検査にて右腎盂内に新たな結石が形成されたことを確認した。以降必要に応じ皮下輸液や鎮痛剤の投与を行い維持し,日常生活に支障はなかった。しかし第691病日(2回目の手術から670日目)に左右腎盂内の結石の増大と,BUNおよびCreの上昇がみられ,第887病日(2回目の手術から866日目)に腎不全の悪化により死亡した。

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