動物臨床医学
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症例報告
全身麻酔下での犬の歯科処置における低体温症に対する加温洗浄水の効果
馬場 亮戸野倉 雅美松木薗 麻里子高橋 香鴇田 真弓市橋 弘章伊藤 寛恵文原 千尋藤野 浩子小暮 啓介山地 七菜子川崎 茉里奈川田 学酒巻 江里三浦 紫陽子藤田 理恵子藤田 桂一山本 幸成荒川 祐一
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キーワード: , 低体温症, 歯周病
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2016 年 25 巻 3 号 p. 93-96

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抄録

歯周病をはじめ,犬の歯科疾患の中には,抜歯をせざるを得ないことも少なくない。歯科治療中は超音波スケーラーによる歯石除去やバーによる歯の分割,歯槽骨の切削時に頻繁に冷水を歯面や口腔粘膜に接触させる。そのため,生体はより熱を失いやすくなり,術中に低体温症をしばしば発症する。今回,動物用歯科ユニット(オーラルベットⅡ,発売元 モリタ製作所 製造販売元 モリタ東京製作所)内の洗浄水を加温し,その温水を歯科処置中に使用することによって,術中の低体温症に対する予防効果を検討した。症例は体重,体格(BCS),年齢を揃えて,温水群と冷水群の2群に区分した。術中に体温が36.9℃に達するまでの体温低下の速度の違いを2群間で比較検討した。2群間において,36.9℃までの体温の低下速度に有意な差は認められなかった。しかしながら,復温後の体温の上昇速度では,温水群は冷水群に比較して有意に速いことが示された。

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