動物臨床医学
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症例報告
ヒドロキシカルバミドによる化学療法を実施した真性赤血球増加症の猫の1例
高橋 義明富田 彬正辻本 元平川 篤山本 直人田中 美礼吉田 満洋浦 亜沙美阿波 利英堂森 あすか猪狩 和明
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2017 年 26 巻 3 号 p. 130-135

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抄録

近医にて持続的な赤血球増加症(PCV 73%)が確認された3歳の猫が当院へ紹介受診した。猫に脱水徴候はみられず,SpO2も98%と正常を示し,血清エリスロポエチン濃度が低値を示したことから相対的赤血球増加症や二次性赤血球増加症が除外された。 骨髄検査により赤芽球系細胞の著増が確認されたことにより真性赤血球増加症と診断した。クローン性評価として骨髄と末梢血においてアンドロジェンレセプター(AR)遺伝子によるX染色体不活化パターン(X-chromosome inactiveation pattern :XCIP)解析を行ったが,クローン性増殖は示唆されなかった。また,JAK2 V617F遺伝子変異も確認されなかった。ヒドロキシカルバミドによる化学療法を実施したところ,PCVは下降し,1年以上経過した現在も投薬を継続中である。

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