2020 年 29 巻 3 号 p. 119-121
難治性の外耳炎症状を示し,耳根部領域に皮下膿瘍を形成したウサギ3症例に対して,オトスコープ,X線およびmicro-CT検査などを実施し,耳科疾患との関連性,各種診断および治療方法について検討した。その結果,すべての皮下膿瘍が慢性的な外耳炎および中耳炎に随伴して発生し,鼓室壁の菲薄化,鼓室の拡張,腹外側への贅性仮骨,部分的破壊などの変化が確認された。治療においては,難治化を防止するための早期診断治療の重要性,画像診断情報の有用性,耳道洗浄など従来行われていた治療の危険性が示唆されるとともに,外耳道部近位外側部における開口部形成術による外科的介入は一定の結果をもたらすことが確認された。