2021 年 30 巻 3 号 p. 76-78
2016年から2017年にかけての冬季と2019年から2020年にかけての冬季に,東京都の市街地で屋内飼育されている犬と猫におけるノミの感染状況を調査した。各調査期における調査頭数は,犬50頭と猫50頭である。その結果,ノミは,2016年- 2017年に犬1頭と猫2頭,2019年- 2020年に猫2頭から採取された。採取個体数は,2016年- 2017年の犬1頭からは1個体,猫2頭からはともに2個体,2019年- 2020年の猫2頭からは2個体と3個体であり,採取されたノミはすべてネコノミCtenocephalides felisと同定された。以上の成績は,ノミの越冬のための戦略の1つとして冬季にも少数のノミが犬や猫に寄生した状態で存在するという仮説を支持するものである。冬季にあっても,犬や猫におけるノミの寄生を検査し,寄生していた場合には早期に駆除する必要があろう。