2024 年 33 巻 3 号 p. 72-77
多発性に生じたリンパ節原発髄外性形質細胞腫の犬の症例を報告する。症例は多発性のリンパ節腫大を呈し,病理組織検査により形質細胞腫と診断した。腫瘍組織には重度のアミロイド沈着が生じていた。骨髄や脾臓,肝臓において腫瘍の増殖は認めず,そのほかに多発性骨髄腫を疑う所見は認めらなかったため,多発性に発生したリンパ節原発の形質細胞腫と診断した。多発性骨髄腫と同様の化学療法を実施したが,腫瘍の明らかな縮小は見られなかった。犬において多発性リンパ節原発髄外性形質細胞腫の報告はなく,予後が不明の為,今後より長期的な経過観察が必要である