日本土壌肥料学雑誌
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わが国の食飼料供給に伴う1992年から2007年までの窒素フローの変遷
松本 成夫織田 健次郎三輪 睿太郎
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2017 年 88 巻 1 号 p. 1-11

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抄録

1)わが国の食飼料供給の動向に基づき,窒素フローの算定手法を改良し,1992年,1997年,2002年,2007年の窒素フローを明らかにし,既報の1982年と1987年の窒素フローを合わせて,その変遷を解析した.

2)わが国に供給される食飼料の窒素フロー総量(国内生産+輸入)は1982年から1992年に増加し,その後,低下し続けた.その国産率は1982年の43%から1997年には30%に低下し,それ以降29%で推移した.

3)食生活への窒素フローと畜産業への飼料の窒素フローの国産率は1982年から2007年にかけてそれぞれ54%から37%に,32%から21%に減少した.加工業への窒素フローの国産率は1982年の36%から1987年に33%になって以降急激に低下し,2002年には15%にまで減少した.

4)環境負荷窒素量は1992年にピークに達し,その後低下した.化学肥料使用量の減少が寄与したが,国内食飼料生産量の減少が,環境負荷窒素量の低減の妨げとなった.

5)作物生産に伴う吸収窒素量が窒素フロー総量+作物残渣窒素量の合計に占める割合(窒素循環率)は1982年の35%から1997年の28%に低下し,それ以降一定であった.

6)農地に投入される窒素量(農地還元廃棄物+化学肥料)に対する農地還元窒素量の割合は1982年の26%から増加し,1997~2002年には39%に達したが,2007年には35%に低下した.

7)水系への窒素負荷量のうち農地経由の割合は1982年の30%から減少し,2007年には25%に低下した.

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© 2017 一般社団法人日本土壌肥料学会
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