日本土壌肥料学雑誌
Online ISSN : 2424-0583
Print ISSN : 0029-0610
報文
北海道十勝地域の畑地における土層改良が土壌由来の一酸化二窒素発生に及ぼす影響
塩飽 宏輔丹羽 勝久中村 恵西村 誠一小南 靖弘永田 修北川 巌小林 幸司
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 90 巻 1 号 p. 47-54

詳細
抄録

土層改良による排水性の改善がN2O発生に及ぼす影響を検討するため,局所的な排水不良地を有するコムギほ場の排水良好区域に排水良好区,排水不良区域に排水不良区の2試験区を設けて1年間調査した.コムギ収穫後,排水不良区にカットソイラを用いた土層改良を施して土層改良区とし,無処理の排水良好区と共に1年間調査した.土層改良前後でN2Oフラックス,深度0–20 cmのWFPSや硝酸態窒素を測定し,土層改良後のコムギ収量を調査した.土層改良前は,消雪直後や降雨後に排水不良区のWFPSが排水良好区と同等か,上回っていたのに対して,改良後は多雨時に土層改良区が排水良好区を下回った.さらに,土層改良区の収量は5.8 Mg ha−1と,排水良好区(6.0 Mg ha−1)と同水準だった.1作目の期間中,排水不良区のN2O発生量は3.70 kg N ha−1と,排水良好区(1.58 kg N ha−1)の2倍以上だった.一方,2作目の期間におけるN2O発生量は,排水良好区が1.17 kg N ha−1,土層改良区が1.33 kg N ha−1と,両区の差が10%程度に留まったため,土層改良によるN2O発生量の低減が示唆された.以上の結果から,今回施工した土層改良は土壌水分環境の改善に寄与したと推察された.また,土層改良前後におけるN2O発生量の低減は,排水性向上による脱窒抑制に起因すると考えられた.

著者関連情報
© 2019 一般社団法人日本土壌肥料学会
前の記事 次の記事
feedback
Top