北海道矯正歯科学会雑誌
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叢生発症率の経年変化を探る : 歯冠幅径と顎骨の大きさの経年変化について
梶井 貴史Alam Mohammad Khurseed飯田 順一郎
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2006 年 34 巻 1 号 p. 15-22

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抄録

矯正歯科患者における叢生の発症率は近年増加していることが示唆されている。その原因として、歯冠幅径が増大していることが挙げられたり、一方で、歯槽骨を含む上下顎骨が短小してきていることが挙げられたりしているが、統一された見解は未だないのが現状である。今回、我々は矯正歯科患者における歯冠幅径の大きさと上下顎骨の大きさの経年変化について、さらには永久歯の先天性欠如の発症率の経年変化について、当教室の報告を中心に総括すると同時に新たな調査結果を報告する。矯正歯科患者において歯冠幅径はここ数十年のうちに若干大きくなってきていることが示唆される。一方、顎骨の大きさは、ここ数十年のうちに必ずしも小さくなってきているわけではないことが示唆される。これらより、近年の叢生発症率の増加の原因は歯が大きくなってきたことであると考えられる。小臼歯抜歯、非抜歯や歯列・歯槽基底拡大の是非などを考える際に、これらの現象を考慮する必要があると考える。

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© 2006 北海道矯正歯科学会
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