道徳と教育
Online ISSN : 2435-1199
Print ISSN : 0288-7797
リベラルな社会の非リベラルな前提 ―民主主義のために道徳教育は何をねらいとすべきか―
古川 雄嗣
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2023 年 342 巻 p. 101-

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抄録
とりわけ2000年代以降、民主主義諸国において、ポピュリズムの台頭や権威主義的な指導者の登場に「民主主義の危機」を見る議論が噴出している。本稿では、リベラルな民主主義には、それ自体は必ずしもリベラルではない、いくつかの前提条件があり、むしろリベラリズムというイデオロギーがそれを弱体化してきたことこそが、リベラルな民主主義の危機をもたらしているという仮説に基づき、その前提条件として、①共和主義、②ナショナリズム、③中間団体の3つの契機について検討した。その結果、①公的活動に積極的に参加し、できればそこに「幸福」を見出しうる市民の育成、②多様な文化的・民族的アイデンティティを尊重しつつ、同時にその多様な人々がお互いを歴史と運命を共有する同胞とみなしうるナショナル・アイデンティティの創出、③親しい人々によって営まれる自治的な地域共同体の再生の3点が、リベラルな民主主義を再生するために求められる道徳教育の方向性であることが示唆された。
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© 2023 日本道徳教育学会
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