海洋深層水研究
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成体サクラエビScrgia lucensの生残, 成長におよぼす海洋深層水の影響
岡本 一利
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2006 年 7 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

駿河湾で採取した成体サクラエビを, 海洋深層水と表層水の2実験区に分け, 水温は約15℃, 餌料はアルテミアノープリウスを給餌することにより個別飼育した.海洋深層水区, 表層水区の実験結果は次のとおりであった.最大生残日数は各々185, 17日, 平均生残日数は各々58.8, 13.0日, 1個体あたりの最高脱皮回数は各々15, 1回, 平均脱皮回数は3.4, 0.2回であり, 海洋深層水区で生残日数が長く, 脱皮回数が増加した.海洋深層水区において, 飼育開始から最初の脱皮までの平均日数は15.8日, それ以降の平均脱皮間隔日数は12.0日で規則的に脱皮を繰り返した.脱皮前甲長 (x) と脱皮後甲長 (y) の関係を求めた結果, y=0.7156x+2.71 (r=0.80, n=31, p<0.001), の式で表された.飼育実験値と野外調査による成長推定値が類似した.海洋深層水を利用することによりサクラエビの生態解明が期待される.

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