抄録
ブドウ巨峰を用い, 生育段階での茎径ならびに果粒肥大の日変化を調査し, 樹体内水分変化の基礎特性を明らかにしようとした.
(1) 幼果期での茎径, 果粒肥大の日変化は, 類似の傾向を示した.このことから, 果粒の収縮も体内水分の減少によるものと考えられた.
(2) 茎径ならびに果粒肥大の日変化特性は, 樹体の生育に伴い変化パターンを異にした.このことは, 生育ステージにより, 樹体の器官相互の水分競合関係が明らかに変化していくことを示している.
(3) つまり, 幼果期における体内水分は, 果粒よりも葉が支配的であり, 生育が進むと果粒からの水分の移行は減少した.なお, 果実発育の第II期以降は茎が細っていく現象がみられた.