生物環境調節
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ブドウの生体情報の測定と解析による土壌水分管理法の指標化 (第3報)
土壌の乾燥と茎径ならびに果粒肥大の日変化特性
今井 俊治岩尾 憲三藤原 多見夫
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1991 年 29 巻 1 号 p. 19-26

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抄録
ブドウ巨峰の各生育段階において, 土壌の乾燥に伴う茎径ならびに果粒肥大の日変化特性を調査して, 好適な土壌水分管理法のあり方を検討した.
(1) 新梢伸長期での樹体に強い水分ストレスを与えない土壌水分は, 茎径の収縮量と肥大量から判断して, pF2.3以下と思われた.
(2) 果実発育第I期での果粒の収縮量の増加は, 土壌の乾燥に伴い直線的であり, 好適とする土壌水分の範囲決定は困難であった.しかし, 茎径の収縮量の推移から判断して, 樹体に強い水分ストレスを与えない土壌水分の上限はpF2.3と思われた.
(3) 果実発育果粒軟化期での果粒は, 土壌の乾燥推移のなかでも肥大は進行した.しかし, 茎径は減少し, その変化から判断して, 樹体に強い水分ストレスを与えない土壌水分はpF2.2以下と思われた.
(4) 果実成熟期の茎径ならびに果粒肥大の日変化パターンは, 土壌の乾燥に伴って変化した.果粒の肥大が継続する土壌水分はpF2.1以下と判断した.
(5) 果実収穫期後の茎径の日変化は非常に小さいものの, 収縮量から判断して, 樹体に強い水分ストレスを与えない土壌水分はpF2.1以下と判断した.
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