応用生態工学
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事例研究
水路での木製構造物の設置による物理環境の改善と魚類に対する効果
岸 大弼原 徹苅谷 哲治徳原 哲也
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2012 年 15 巻 1 号 p. 81-89

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抄録

本研究は,水路における魚類の生息状況の改善を目的とし,木製構造物を設置して,物理環境の変化および魚類に対する効果を検証した.調査の結果,木製構造物の設置による水深の増大作用および流速の減勢作用が確認された.一方,砂礫の供給量が少ないために木製構造物の設置後も,砂礫の堆積作用は不明瞭だった.今後,砂礫を投入した木製構造物についても実地試験を行い,砂礫の保持力や水生動植物への効果を検証する必要がある.魚類の量的変化は検出されなかったが,種数については設置後に操作区が対照区を上回っており,木製構造物を設置した区間が選好されることが示唆された.本研究で提示した木製構造物の設置は,短期間で安価かつ平易な技術で実施することが可能である.また,原状復帰あるいは移設が容易であるため用水管理や農作業の状況変化に対応しやすく,相応の実用性を有していると考えられる.

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© 2012 応用生態工学会
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