論文ID: 25-00027
琵琶湖流出河川(瀬田川)の最上流部において護岸と浚渫が施された瀬と淵に注目し,サギ類を除く水鳥(冬鳥)の種組成と優占種,種多様性,行動を比較した.2020 年 12 月から翌年 2 月に 21 回,雨天を除く正午に 1 時間半,右岸を上流から歩き,双眼鏡や望遠鏡を用いて水鳥を探索し,印刷した Google Earth 画像[人工物や河畔林などから 11 区画(同一面積の 8 区画他)を設定]上に種名,発見地点,個体の行動(潜水採餌,倒立採餌,水面採餌,休息,移動,その他)を記録し,Shannon の多様度指数 Hʼ を求めた.瀬で 11 種(浅場利用者のオオバン,ヒドリガモ,カルガモ,オカヨシガモ,マガモ,ハシビロガモ;深場利用者のホシハジロ,キンクロハジロ,カワウ,カンムリカイツブリ,ユリカモメ),淵で 9 種(ユリカモメとハシビロガモ以外)が見られ,オオバンが優占種であった.平均種数に瀬淵間で有意差はなかったが,Hʼ の平均値には瀬淵間で有意差があった.瀬淵共に航路維持のため深さ 7.5 m の浚渫が施され,水面採餌と潜水採餌が見られた.淵の攻撃斜面対岸の浅瀬に沈水植物コウガイモの大群落(水深 2 m 程度)が存在し,オオバンの個体数が非常に多く,水面採餌と潜水採餌は見られたが倒立採餌は見られなかった.浅場利用者の倒立採餌は瀬の一部でマガモ,カルガモ,オカヨシガモの少数個体にのみ見られた.中洲の存在は水深構造を複雑にするため,瀬では特定の水深の浅場で繁茂する沈水植物群落の規模は小さくなり,これらを餌とする種の個体数が増えないものと考えられる.多様度指数と水深構造及び河岸の構造物の特徴の分析を結びつけることにより,河川改修後にも水鳥の多様性を高める要因を推察することができた.