これまで,高校の「政治・経済」の教科書についての経済教育に関する研究では,学派という観点から戦後から現在までを網羅した歴史的な分析はこれまで行われていない。一般的に,教科書はその学問分野の通説にもとづいて叙述されることが通例であるが,経済学においては,様々な経済学派が併存していることが特徴の一つであり,このことがどのように高校の「政治・経済」の教科書執筆に影響を与えたのか,そして歴史的にどのような変遷をしてきたのかを明らかにすると同時に,その変化についての仮説を提示し,検証もしている。この分析方法についても,従来の研究の方法の問題点を指摘し,その改善策を提案している。