近年,森林資源は充実している一方で林業労働力が不足している問題がある。将来世代の労働力を確保するにあたり職業体験が効果的とされる。森林の魅力を伝える環境教育は一般的だが,林業の魅力を伝えるそれは多くない。著者は林業関係者らと話し合い森林環境教育ならぬ林業環境教育のツールを2種類開発した。それは実際の林業作業に近い内容であり,林業の魅力を伝えられる構成になっている。一つは林内巡視作業を模した宝探しゲーム,もう一つは視距伐開作業を模した除伐体験である。地元小学生を対象にこれらを実施したところ,特に除伐体験の満足度が高かった。除伐体験が伝える林業の魅力は,自分たちの手で林内の景観を創り変える点である。林業の魅力を把握し,それを教育として上手に発信していくことが重要である。