2020 年 39 巻 39 号 p. 42-47
日本の雇用慣行に対する信頼が取り戻されつつある。日本経済の長期低迷は,中国や韓国などの経済発展により既存の産業が衰退し,それに代わるビスネスモデルをまだ構築できていないことにあり,雇用システムに原因があるのではない。日本の雇用システムで重要なのは,「終身雇用」や「年功制」ではなく,人材育成の仕組みにある。日本の企業では人材育成が重要な経営課題となっているが,人材育成に必要な人材が育っていないという問題が生じている。指導教育力は,教職課程の学生だけに求められる能力ではなく,教育の専門機関である大学教育の場ですべての学生を対象に養成されるべき能力の1つである。香川大学経済学部では,2015年から大学生が高校生に経済学を教える教育プログラムを導入して,教えることを実体験させている。