2020 年 39 巻 39 号 p. 98-103
本稿は筆者による高等教育機関パーソナルファイナンス(PF)教育および金融リテラシー(FL)教育の実践例について,事前的な学習経験と事後的に獲得するファイナンシャル・プランニング(FP)能力の観点から分析したものである。大学での広義の金融教育は非常に活性化してきているが,一層の普及のためには体系化を図る必要がある。そこで筆者はPF科目とFL科目の受講者それぞれの事前的な学習経験と,学習成果の共通の尺度として日本FP協会のPF教育スタンダードを用いて分析した。その結果,PF教育については身近な経済的成功者の存在がPFの内容理解に結びつき,タックスプランニングの理解が幅広いFP能力の獲得につながることが示唆された。またFL教育においては各単元と結びつく事前的な経験を明らかにするとともに,リスク管理の理解が幅広いFP能力の獲得につながることが示唆された。加えてこれらの結果はPF教育スタンダードに基づいて,さまざまな金融教育実践の効果を体系的に評価可能であることも示している。