2021 年 40 巻 40 号 p. 53-60
金融リテラシーに関する調査の多くは,多肢選択式で実施されている。独立した問題からなる調査では,仮に正答率が高くてもそれが実力に依るものか,まぐれに依るものかの識別が難しい。そこで我々が2019年度に実施した「米国金融リテラシー調査」を受けた大学生2人に問題文を提示して,どのように考えて複数の選択肢から1つに絞っていったのか,具体的に開陳してもらった。そこでは,経済学を主専攻としない大学生たちがどのように問題文を読み取り,考え,選択するか,また,どこにひっかかり,迷っているかなどが明らかになった。同時に,正解は1つとは限らないこと,問題の意図が曖昧なものがあることも示唆された。