2021 年 40 巻 40 号 p. 74-81
本稿では日本税理士会連合会寄附講座の受講学生が小学校で実践した租税教室を紹介し,観察者による評価に基づいて課題と方向性を検討する。実感を伴って税金の意義と使われ方を理解することを授業のねらいとし,授業者は児童に日常生活で税金が使われている場面を提示した後,「もし税金がなかったらどんな街になるか」というワークショップを実施した。児童は税金がない街を想像し,それを模造紙に描き発表した。その結果,児童は税金のない街に比べて,税金のある街は日常生活により近いことを感じ取れた。より効果的な授業を行うためには,税理士・大学と小学校が協働し,長期的な単元計画の下で租税教室の開催が求められる。