2021 年 40 巻 40 号 p. 82-87
解の存在自体が明らかでないような問題に対する最適解や,複数の準最適解が存在する場合の準最適解を探索することを目的として,遺伝的アルゴリズムに基づいた進化的計算手法を開発した。開発した計算法を,テイラー展開を含んだ漸近展開の一般化へ応用した。経済学においてテイラー展開は,例えば得られた時系列データの関数形を明らかにするという目的などで用いられ,重要な数学的ツールとなっている。一方で数学的なテイラー展開の理論ではデータ自体が微分可能であるという意味での滑らかさが要求される。今回開発した手法を用いれば,データ系列として滑らかさのないデータを直接扱うことが可能となる。提案手法の利点と問題点について,実例を交えて報告する。本研究は関西大学での学部生向け自主学習課題として理工系学習支援室で実施された研究・教育活動に基づいている。